羽幌町について
北海道最北の稚内から南へ130km、札幌市から北へ180km離れた日本海沿岸の国道232号(日本海オロロンライン)に位置する羽幌町。シベリアから吹き付ける季節風の影響で、通年して風の強い日が多い地域。日本海の荒々しくも壮大な風景や渡り鳥の訪れ、そして食の恵みを通して、四季折々の自然や人々が築いてきた暮らし・文化に地域の魅力があります。
羽幌町の概要
札幌から約3時間、日本海沿岸の羽幌町
羽幌町は、北海道北部の日本海側、留萌管内のほぼ中央に位置し、東は天塩山系ピッシリ山を背景として、西は日本海に面し、沖合には、暑寒別天売焼尻国定公園に指定されている天売島・焼尻島のふたつの島を有する町です。天売島を国内唯一の繁殖地として訪れる絶滅危惧種の海鳥”ウミガラス”の独特の鳴き声からオロロン鳥の愛称がついたそうです。気候は、夏季は温暖で春から初夏にかけて乾燥し、晩夏から冬にかけて多雨、そして冬季は湿潤寒冷で積雪が多く対馬暖流の影響で内陸部よりは温暖ですが、季節風に雪がともない、しばしば暴風雪となる日があります。
各時代の記憶が残る羽幌町の歴史
開拓以前は、永い間アイヌ民族だけが居住していました。1700年頃に始まった「場所請負制度」により和人が定住し始めてから、およそ300年。以来、農業、漁業の第一次産業を中心に発展し、ニシン漁の栄華、明治期の開拓、炭砿の隆盛から閉山、そして国鉄羽幌線の廃止など、数々の歴史の記憶を急速な社会環境の変化として刻んできました。海と山と島で築かれた人々の営みの歴史は、遺跡や名所でその記憶に触れることができます。
北の日本海沿岸の食の恵み
羽幌町は、農業・漁業の第一次産業を中心に発展してきました。海からの恩恵で欠かせないのが、ニシンの存在です。留萌地方に押し寄せたニシンは、昔の人々の暮らしを潤し、今日も地元の味として親しまれています。現在、日本屈指の漁獲量を誇る甘エビの他に、季節により異なる魚介の水揚げがあります。ヒラメ、タコ、ホッケ、カジカ、ホタテなど海の恵みを味わう事ができます。
日本最北の米どころで、羽幌町は「うるち米」生産の北限の地域です。米の生産量は決して多くはないが、全国トップクラスの良食味米生産地として知られています。
羽幌町の四季
強風と雪の厳しい冬から、晴れやかな青い空が広がる季節へ移り変わると、生き物たちも活動をはじめ、春の訪れを知らせてくれます、海岸では、産卵期を迎えたニシンが、浅瀬に押し寄せて産卵し、海を乳白色に染める現象”群来”により春の訪れを知らせてくれます。野鳥たちは、渡りの長旅の途中、立ち寄ります。森林に入ると、小さな草花が元気に顔を出し始め、厳しい冬を越えた春の喜びを豊かな自然から感じることができます。
羽を休めた野鳥たちが次の旅に飛び立ち、キレイに彩った花々が緑で覆われるころ、日本海オロロンラインは、海岸線を潮風を浴びて走る最高のドライブルートとして多くの人々が訪れます。天売島・焼尻島と更に沖合に浮かぶように見える利尻富士を紅色に染める夕陽の絶景。ウニ、甘エビ、ホタテなどの新鮮な魚介類を味わうグルメ。天売島・焼尻島の大自然に触れる島旅。そして、疲れを癒す天然温泉。日常の生活を抜け出して、雄大な北海道の恵みを感じる事ができる季節です。
8月の中旬を過ぎた頃から、気温が少しずつ下がり始め、道端のススキも淡黄色に色づき秋を迎え始めます。漁港は秋鮭漁で賑わい、農地は米の収穫で最繁忙期を迎えます。森は紅葉に色付き、葉を落とし始めると、猛禽類の大型の野鳥が姿を見せます。夏の賑わいが落ち着き、涼しい空気と自然の静けさ漂う秋のオロロンラインは、季節が移り変わる色鮮やかな景色と自然の営みを見ることができます。
冬の日本海オロロンラインは、北西方向から吹き付ける強い季節風と、それによる風雪、波浪という気象条件下にあり、”世界の3大波濤”の留萌市が羽幌から南に50kmの位置にあります。人々の暮らしは、風雪と波浪で閉ざされたようになりますが、冬の生き物たちは、逞しく活動しています。オオワシやオジロワシを森林や沿岸地域で観察でき、色鮮やかなシノリガモなどが港内を泳いでいます。森林では、アカゲラやシマエナガなどが飛び回り、もしかしたらエゾリスやエゾユキウサギとの出合いがあるかもしれません。